看護師 × 施術家の観点からみる肩こり
管理人兼、看護師兼、施術家の雨崎です。
看護師×施術家の視点から考えるコラム、今回は「肩こり」について。
「肩こり」とは、首から肩・背中にかけての筋肉(主に僧帽筋)に生じる、筋肉の張り、緊張、だるさや重さ、痛みといった症状の総称です。
血行が滞り、血中の疲労物質・発痛物質を取り除けないと、肩こりに繋がる
肩こりの原因として考えられるのが、血中の老廃物に含まれる疲労物質や発痛物質。疲労や痛みを感じる原因物質です。
これら老廃物は本来、筋肉の収縮と弛緩による血液のポンプ運動を受けて、腎臓や肝臓に運ばれるのですが、
筋肉が緊張していたり疲弊していると、収縮と拡張が満足に行われず、血流が滞ってしまいます。
そうなると、老廃物が蓄積し、疲労物質や発痛物質による作用で、だるさや痛みが生じてしまう…というわけです。
これが肩こりが生じる基本的な流れ。
筋肉はそのポンプ機能により、
血流を促進し、酸素や栄養を細胞に届けたり、老廃物を各種臓器に届けて処理する役割を担います。
つまり、筋肉がこわばるなどして、老廃物を流せないと肩こりに繋がる恐れがあるわけですが、
では筋肉がこわばる原因は何なのでしょうか。
筋肉が緊張する原因は、人体の構造や、姿勢、ストレス、気温
結論から触れると、二足歩行が肩こりに繋がる可能性があります。
人間の背骨はゆるやかなS字カーブを描いています。
これは、人間が重い頭や腕を支えながら二足歩行できるよう、衝撃を緩和する役割を担っているのです。
真っ直ぐな背骨だと、上下にかかる衝撃を緩和する事ができませんが、
S字カーブを描く背骨だと、クッションのように衝撃を緩和することができる訳です。
また、この背骨の間には、衝撃を和らげる「椎間板」が存在します。
椎間板は、ゼリー状の髄核と、それを取り囲む繊維輪という軟骨組織の二重構造になっており、要は「圧力」を分散できる構造となっています。
我々が二足歩行の衝撃を緩和できるのは、この椎間板と背骨のS字カーブのおかげという訳です。
ただし、加齢などの要因によりこのクッションが潰れて硬くなることがあり、
歩行時の衝撃や、上半身の重さを緩和することができず、脊柱(首)への負担が増すケースがあります。
結果、肩こりにつながってしまうのです。
また、以下のような原因でも筋肉は緊張したり、疲労したりします。
・猫背・前屈みになるなど、悪い姿勢が定着している
・ストレスを抱えている(身体がリラックスしていない)
・長時間の冷房
足の怪我が肩こりのきっかけになることも?
足が原因で肩こりになることも考えられます。
一体なぜ?
例を挙げて見てみましょう。
ケース①
まず身体の仕組みとして、強い衝撃を受けた組織は、収縮し硬くなります。
今回の場合、怪我により衝撃を受けた左足首の結合組織が、収縮し固まっている可能性がある、ということです。
ここで重要なのは、左足首が収縮し固まるということは、その分左足全体の長さが縮んでいる、という点。
そうなると、身体全体は左側に落ちる形で傾き、左右のバランスを崩します。
しかし人間は、平衡感覚を保つため、左右の目線を地面と平行に保つよう、身体を歪めるなどして、姿勢を調整する特性を持ちます。
つまりどういうことか?
今回のケースでは、左側に傾いた身体を地面と平行にするため、腰から上(脊柱)を歪める可能性がある、ということです。
『左に傾いたシーソーを、土台を右に歪めることで平行にする』かのように、 脊柱が途中から右に湾曲し、頭部及び左右の目を地面と水平に保とうとするのです。
こうなると頭部のバランスは保たれるわけですが、 しかし脊柱が歪むことで、今度は脊柱の一部である首には負担がかかるようになります。そこから歪みが生じることも。
更に首は、負担のかかった状態で重たい頭部を支えなければならず、その状態で過ごせば過ごすほど更に負荷がかかります。
それにより首の筋肉がこわばり、疲労物質も蓄積していき、結果肩こりに繋がってしまう、というわけです。
肩こりの解消に良いのは、運動、リラックスなど
動かす、運動する
滞った血流を促すためにも、身体を動かすのはおすすめです。簡単な上半身の体操から、水泳などの全身運動まで、運動は肩こりの解消に効果的です。
温める
筋肉の緊張をほぐし、精神的な緊張の緩和にも期待できます。
リラックス
精神的なストレスを緩和することで、肩こりの緩和に期待できます。
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